2023年新語・流行語大賞トップ10に「生成AI」が入るなど、
AI(人工知能)は私たちの生活に密着し浸透してきています。
整体やマッサージは、施術スタッフの豊富な経験に裏打ちされたスキルによって、
人間の身体の歪みを矯正し、痛みを緩和させてくれます。
また、施術をしながらの患者とのコミュニケーションは、正確な症状の把握とともに、
患者の緊張をほぐしてリラックスさせる効果にもつながるでしょう。
こうしたことから、近年、活用分野が広がっているAIであっても、
整体分野だけはAIが代替することは難しいように考えていました。
ところが、既にAIは整体の世界にも進出しているとのニュースをネットで読みました。
スマホやタブレットのカメラで数枚の全身写真や動画を撮るだけで、姿勢の問題点を
瞬時に発見し、その解決策も提案してくれるというのです。これはAIの画像認識技術を
応用したもので、人間の身体を数百の部分に分解して分析し、身体の不均衡を検出する
というものです。AIが多くの症例を学習するほど精緻な診断が可能になります。
(1)施術スタッフの経験値の差を埋める
人間の身体は千差万別。多くの患者の施術を経験することによって、
歪みが生じている箇所や症状の原因となる箇所を特定するスキルが身に付くので、
経験の浅いスタッフには難しい診断もあるかもしれません。AIのサポートにより
経験不足を補うことができれば、人手不足やベテランスタッフへの負荷集中という
問題への対応策になりそうです。
(2)痛みの原因となる身体の歪みの可視化
目に見える形で患者へ説明することにより、納得感を持って積極的に治療へ
取り組んでもらえると期待できです。歪みが矯正されていく過程も視覚的に
確認できれば治療を続ける励みにもなるでしょう。
(3)その他
遠く離れた地域の患者へのオンライン診療サービスの提供や、
医療以外でも介護やスポーツなど幅広い分野への適用も期待できます。
整体分野でのAI活用において、海外では診断だけでなく、ロボットによる施術も実用化
が進んできています。AIがツボを特定し、人の手の感触に似たシリコン製のアーム先端部
で施術してくれるロボットは、コロナ禍の非接触ニーズにも合致して利用が広がってきた
ようです。しかし、患者とのコミュニケーションも整体の大事な要素のひとつと考えると、
このまま整体の仕事がAIに取って代わられるとは考えにくいように思います。AIのメリッ
トを上手く活かしながら、人間による整体技術が私たちの身体をケアし続けていただけれ
ば幸いです。
エリアマーケティング研究会 整体部会 伊藤