《【お寺管理システム】データ入力作業の3つの壁》

9月16日の記事でsalesforceによるお寺管理システムの開発状況を配信させていただきました。システムの方は着々と開発進行中なのですが、導入に当たり現在紙で保有しているデータをシステムにインプットする必要があります。実はこの作業が思いのほか大変で苦労しております。そこで、今日はデータ入力作業の難しさについてお話させていただきたいと思います。

1.データ保有状況:
インプット対象は、亡くなったお檀家さんの情報を記載している「過去帳」
データ件数は約6,000件
入力項目は、①氏名、②続柄、③戒名(法号)、④没年月日、⑤没年齢
現状は全て紙で保管
一番古いデータは約300年前のもの

2.データ入力作業を難しくしている3つの壁

(1)個人情報を扱うため簡単に外注できない
当然ですが過去帳の記載内容は個人情報です。入力作業を外注するためにはNDAの締結はもちろんのこと、外注先の情報管理体制の確認なども必要となり、外注には高いハードルがあります。(大学生のバイトを雇って、、、というようなことはできないのが実態です)

(2)戒名(法号)に旧字や馴染みのない漢字が多く使われている
古い年代のデータはほとんどが旧字であり、更に戒名(法号)には普段の生活ではめったに見ることがない漢字が多数使用されています。お寺に馴染みのない方からすると、一体これは何と読むのか、、、という漢字の連続です。私も慣れるまでは幾度となくIMEパッドのお世話になりました。

(3)手書きのため、クセ字や紙の劣化で読みとりづらい箇所がある
1項で触れた通り、一番古いデータは約300年前のものとなります。略字の書き方も現在とは異なっており、そこに歴代住職のクセ字が加わるため読解に苦労するケースが非常に多いです。また、現在取り組んでいる寺院の過去帳は非常に保管状態が良いのですが、他の寺院では文字が日に焼けてしまっていたり、破れていたりと読解が更に難しくなるケースがあります。

3.最後に:
データ入力作業というと単純作業で付加価値が低く見えがちですが、上記の通り、寺院のデータ入力作業はなかなか一筋縄でいかないのが実態です。一方で、「システムは作成したので後は住職の方でデータ入力をお願いします」と丸投げしても、マンパワーの観点から到底システムの使用開始に至りません。
システム開発だけではなく、データ入力や取り扱いについてもノウハウがあるのを実感しています。本プロジェクトを基にこういったノウハウも蓄積・継承していきたいと考えています。

エリアマーケティング研究会 お寺部会 山本桂史